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  市民と行政が車の両輪となり孫子の代までの財産を創る
豊中市建築都市部 部長 桝村 治 氏
 
 このコーナーでは、さまざまな立場でまちづくりに携わる人々を訪ね、仕事に対する思いや横顔をご紹介します。
今回は、今年3月まで建築都市部理事兼庄内再開発室長として豊中市・庄内地区のまちづくりに携わってこられた 豊中市建築都市部の桝村治部長を訪ねました。

 
桝村氏
桝村 治
(ますむら おさむ)
プロフィール
  昭和19年1月19日、兵庫県生まれ。昭和41年に豊中市に入り、平成2年の都市整備部都市開発課長への就任後は、一貫して再開発関連部署に。今年4月から現職。趣味は、土曜日のゴルフ(HC25)と日曜日の競馬。どちらも手堅く着実に勝負するタイプとか。

地権者の話のなかに合意へのヒントが
 都市整備部に異動して私が最初に手がけた仕事は、豊中駅西と蛍池西地区の再開発事業でした。これらはいずれも組合施行で、地権者の方々の合意形成のお手伝いが大きな仕事になります。私自身、再開発事業が初めてということもあり、今思い出しても苦労の連続でした。
 それまで私は、旧建築部住宅課で老朽化した木造の市営住宅を鉄筋の集合住宅に建て替える業務に就いており、建て替えの対象となる住宅の近隣の方々に、事業への協力を求めるための話し合いなどは行っていたのですが、再開発の合意形成にはそれとはまた違う難しさがありました。
 どの事業でも地権者の方と折衝をするうえで、私が常に心がけていたことは、説得をする前に、まず先方を安心させること。そのためには、言い分を十分に聞く姿勢が大切です。ひと口に地権者といっても、一人ひとりそれぞれに考え方や条件は異なります。
家族の事情や将来への不安などもよく聞いて、その人に納得していただけるメリットを示してあげることです。

過去の反省を、将来への礎に
 もう一つは、ありきたりですが誠意ですね。仕事抜きで取り組んでいる気持ちを分かっていただくためには、 休日の訪問や夜討ち朝駆けも辞さず。何度も会って話し合うしか、合意形成への道はありません。
 まちづくりは、市民の方々と我々とが車の両輪になって進めるべき事業です。多くの人たちの協力で成り立つのですから、 調整役を務める我々は、是は是、否は否として基本軸がブレないようにしなければなりません。武田信玄の軍旗に書かれた言葉は「風林火山」ですが、このなかの「動かざること山のごとし」の気持ちが大切だと信じています。
 さまざまな事業のなかで印象深いものの一つが、この3月まで取り組んできた庄内地区のまちづくりですが、実はこの事業を進めるうえで、私の心を離れなかったある思いがあります。それは「元々の都市計画がしっかりしていれば、こんな無秩序な密集地は生まれなかっただろうに」という、悔しさと反省の念でした。
 都市整備に携わる者として、数十年後の市民の方々や後輩に同じ思いをさせるわけにはいきません。先にあげた車の例で言うなら、車輪を回すエンジンは、子や孫の代まで残る市民の財産をつくるのだというみんなの気持ではないでしょうか。

  個性を生かして、各地域が光るまちへ
 市民の方々に喜んでいただける都市の姿を考えるとき、私が部下によく言うのは「ひょうたんからコマ」的発想の大切さです。これは、硬直した一面的な視点や考え方ではなく、縦から横から斜めからといった具合に多方面から課題を見つめ直そうよという意味なのですが、ときには突拍子もないアイデアも大いに結構。そのなかから意外な結果につながるケースも決して少なくはありません。私のこれまでの経験からも断言できます。
 豊中は、大阪のベッドタウンとして古くから栄えてきた街です。市内にはさまざまな地域があり、それぞれに個性があります。今後、それらの特性を生かしてさらに発展し、市民の皆さんのお力をお借りしていっそう愛される街にしていきたいと思います。

  ●取材を終えて
 気さくなお話しぶりのなかに、市民全体の利益だけでなく地権者のメリットや部下の成長にも配慮しながら、まちづくりに取り組んでこられた姿勢が伺える桝村部長。ご自宅では、もうすぐ2歳になるお孫さんの成長ぶりに目を細めながら、彼らが暮らす未来の街を脳裏に描いておられるのかもしれません。
 
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