まちづくり人
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  このコーナーでは、さまざまなまちづくりに携わる人々を訪ね仕事に対する思いや横顔をご紹介します。
今回は幾多のまちづくりに民間の立場で携わってきた(社)全国土地区画整理組合連合会の高橋光壽理事長をご紹介します。


  地域の歴史と文化を大切にしながら
夢は新しいまちづくりへ

社団法人全国土地区画整理組合連合会 理事長 
大阪府土地区画整理組合連合会 会長     高橋 光壽 氏
 
 

将来にわたる夢を描いて

高橋氏
高橋 光壽(たかはし みつとし)
プロフィール
 昭和11年11月25日生まれ、滋賀県出身。昭和54年7月、門真市古川橋土地区画整理組合理事長就任。以来、現在に至るまで5組合の理事長を歴任。光亜興産株式会社など6社を経営。人と語り合いながら飲み、かつ歌うことが健康の秘訣。
 きっかけは、昭和45年に手がけた事業です。ここでは間口10m、奥行き120mの土地を7人の方がそれぞれ隣接して所有されていました。そんな形状ですから、単独では活用が難しい。でも、7筆の土地をひとつにすれば、3,000坪の敷地ができるんです。この方法を地権者さんたちにご説明し協力していただいたいた結果、大規模な流通センターが建ちました。
 こうした手法は初めてとかで、当時は日本経済新聞に報じられたりもしましたね。それよりも、私には地権者の方々が「土地を活用することができ、収入の道も開けた」と、喜んでいただいたことが嬉しかった。思えば、その喜びの大きさが私の道を決めたのかもしれません。
 昭和52年2月、義父のお通夜に焼香に見えた当時の中田三次郎門真市長から「古川橋のまちづくりを考えてほしい」ともちかけられました。義父への供養や地域への恩返しになればと、この仕事に夢中で取り組んだのですが、以来各地の区画整理組合の役員さん方と力を合わせて5つのまちをつくってきました。土地を地域社会で活用すればまちが活性化し、結果的に住民の方々や子孫の代までの「いやさか」にもつながる。土地を持つ者にとっての、いわば夢ですよ。合意形成の段階では、難しいこともあります。でも私は人が好きなので全然苦になりませんよ。何よりみなさんの総意で立派なまちが出来上がった時の喜びは、苦労を忘れさせてくれます。




まちづくりは「人づくり」

 まちをつくるということは、人を育てることにもつながります。私自身、建設省元大臣官房技術審議官の依田和夫先生をはじめ大阪府の歴代担当課長さんなど多くの方に育てていただいたと、いつも感謝しています。まちづくりは、行政と民間がひとつになってこそできるもの。皆さんから教わったのは「民の立場で高橋には何ができるかを真剣に考え、一途に取り組みなさい」ということだと思います。まちというのは、いろいろな人の熱い思いが織り込まれながら完成していくものです。だから、私は携わっておられるそれぞれの方がまちに賭けられた思いを忘れないようにしたいのです。
 私が考えるのは、これからの街づくりは行政に任せっきりではなく、住民の総意に基づいた地域主導型でなくてはならないということです。自分たちのまちの将来は自分たちで責任をもつ。そこから、まちへの愛着や地域社会を考える気持ちが生まれてきます。




ふれあいのあるまちが心を育む

 もうひとつ大切なのは、土地に伝えられてきた伝統や文化を尊重することです。たとえば神社や仏閣、伝統的なしきたりや行事。これらは、その土地固有の財産なんですね。「温故知新」という言葉がありますが、新しいまちで暮らす若い人たちのためにも、最も大切にしたいことだと思います。
 現在進めている事業では、ヨーロッパで見られるような、「花のある路地」を取り入れ「ガレリヤ」と名付けた花を植えるスペースをつくる計画をしています。営農関係者で、花を育てるのが得意な家主さんと借家人さんの間で、花づくりを通した人間関係ができ、借家人同士のコミュニケーションも生まれくると思います。
 私の理想は、土の香りがするような自然と共生するまち。でも、都会では無理ですね。ただ、生まれたまちの環境を決めるのは、そこで暮らす方々のアフターケアです。
 過去には、まちの中に人工の川をつくりました。そこでは私の経営する会社の社員が自主的に清掃を続けていますが、地域を愛する気持ちが皆さんに伝わるんですね。ゴミを捨てる人もいませんよ。こうしたまちのあり方は、子供たちにもきっといい影響を与えて、非行の抑制にもつながっていくのではないでしょうか。



●取材を終えて
 両親はじめ、育ててくれた方々に常に感謝していると高橋理事長。まちづくりを語る口調は熱く、引き込まれてしまった私がふと時計に目をやると、取材予定時間はオーバーしていました。昨年秋の叙勲で授与された藍綬褒章は、きっとこの熱意の賜物なのでしょう。改めてゆっくりお話を伺いたい、そんな魅力を感じさせる理事長でした。

聞き手 藤近雅彦




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