特集2 サポート助成対象活動の事例紹介

 当センターでは、平成14年度から、地域住民の発意及び主体による「まちづくりに係る初動期の活動等」を支援するため、「まちづくり初動期活動サポート助成」を行っています。
 平成19年度からは、助成対象となるまちづくり活動の範囲を拡大するとともに、これからまちづくりを始めようとする地域の方々に対しても助成できるようにし、17団体に対して支援を行いました。今回は、その一部の団体について活動状況のご報告をいただきましたのでご紹介します。

「地区計画の策定に向けたまちづくりの検討」

大森地区まちづくり協議会

画像 大森地区は、千早赤阪村の北端に位置し、まとまった農地が残っている地域です。
 大森地区においては、国道309号の河南赤阪バイパスの整備が進む中、地元からこれを契機に、沿道の土地利用の推進を図る動きが持ち上がりました。このため、バイパスとの接道道路の整備に向け、「森屋大森地区期成同盟会」を設立し、まず道路整備をどのように実現していくか検討をおこない、ルート検討、地権者との調整などの活動をおこなってきました。
 その結果、殆どの用地を無償で提供することで地元としてまとまり、接続道路の整備について村に要望をおこなってきました。
 そこで、接続道路整備については平成19年度までに整備できる目処となったため、今後大森地区として都市的な土地利用を進めるため、先述の組織についで、区域内の地権者、関係者が集まり「大森地区まちづくり協議会」を発足しました。
 本協議会では「大森地区まちづくり協議会規約」を策定し、個々に土地利用を進めるのではなく、一体的な土地利用を図る事により、周辺環境と調和のとれた良好なまちづくりを目指して活動をおこなっています。
 本地区は市街化調整区域であるため、都市的な開発を進めていくためには地区計画を活用する必要があります。
 そのため、平成19年度においては、大阪府都市整備推進センターの「まちづくり初動期活動助成」を受け、市街化調整区域における地区計画の策定に向けたまちづくりの検討を行いました。
 具体的には、まちづくり専門家を講師として招き、今後の大森地区におけるよりよいまちづくりに活かせるよう、講演等を通じ地区計画制度の理解を深めてまいりました。
 本年度の活動を通じて、まちづくりに対するイメージの意思形成、土地利用に対する認識など一定の成果が得られました。
 今後、本格的な開発に取組むならば、地区計画の規模・用途等の検討、土地利用のルールづくり、関係者の合意形成、企業誘致等に取り組んでいく必要があると考えています。



「地域資源を活かしたまちづくり活動」
〜「どぶろく」を通じて、まちづくり

畑中農園 代表者  畑中 喜代司


画像 高槻市は、現在36万人、市域面積105.31kuの中核市ですが、今回のフィールドは、駅・中心部から車で北へ15〜20分のところ、私の生まれ育った「原」地区で、かつては、千原の里とも呼ばれ、農林業のほか農家の副業として寒天づくりが盛んに行われていた地であります。
 私は、市の職員を平成16年に定年退職しましたが、在職時代から、都市と農村をつなぎたいとの思いがあり、また、地元の有志とともに、地産地消と地元雇用、帰農促進と互いの相乗効果につなげたいと考えていました。
 このような中、自分の作った「米」で例えば「酒」を作れたら、遊休農地の活用もでき、活性化にも繋がるのでは?と考えていたところ、それを可能とする構造改革特区という制度を知りました。「どぶろく」・・・これはいけるかも知れないと再び熱い思いがこみ上げてきました。
 そこで、高槻市役所の担当部署へ相談を持ちかけたところ、市の担当者も、この取組は、農業振興とともに、「どぶろく」をシンボルに地域おこしや活性化に生かせ、何よりも市民の発意が重要ということで、特区認定申請の取組がスタートしました。
 そこから、市とも様々なやり取りを行いながら、特区の名称を「高槻・とかいなか創生特区」というのはどうかという市の提案があり、まさに都会と田舎をつなぐということで、私の思いと合致しました。
 市から平成19年1月に内閣府へ特区計画申請がなされ、同年3月30日に認定されました。大阪府下で初めての「通称:どぶろく特区」の誕生。近畿でも兵庫県を除くと、ココだけ。いよいよ気合も入ってきた。
 それまでに、私も初めての作業なので、兵庫県立工業技術センターや造り酒屋へ出向き、研修や実作業も経験させていただきました。
 また、特区認定されても、次の大きなハードル、酒造免許を取得しなければなりません。管轄の茨木税務署も初めての経験。何回も足を運び、やり取りを行いました。申請書が受理されてから6ヶ月以内に取得できるということで、年内には、新しい「どぶろく」を披露したいと、6月には、五百万石という品種を使い、お田植え祭を行い、9月には収穫、11月末に酒造免許を取得し、12月22日には、お披露目会を実施し、ついに販売まで漕ぎ着けました。
 何しろ、暗中模索とは、このことかと思ったときもありましたが、多くの方々からアドバイスや励ましをいただき、随分、心強かった。
 名前は、「原いっぱい」。おなかいっぱい飲んでほしい、原には、いっぱいの魅力がある、などの思いが詰まった名称です。
 この熱い思いを今後も継続していかなければ、意味がないと思っています。
 高槻北部の遊休農地の活用などの農業振興、地域おこし、活性化とともに、高槻の魅力を全国に発信する1つの起爆剤として、意気込みも新たに、継続して取り組んで行きたいと考えています。




「寝屋川市駅周辺グランドビジョン作成活動」

NPO法人 ねやまちネット 理事長  清水 茂實

画像 日本の都市をとりまく状況は、高齢化の一層の進展、地球環境問題の高まり、厳しい財政的制約など社会・経済の基底をなす変化が進展しており、今、こうした時代の変化に対して、「環境にやさしいまち」「人にやさしいまち」をめざし、コンパクトなまちを創ることが求められています。
 寝屋川市駅周辺においては、幸いにも古くから市民の暮らしを支える商業施設が今も多く集積し、マイカーに依存することができない高齢者など誰もが、鉄道やバス、自転車、徒歩など環境にやさしい交通手段により買い物や交流を楽しむ場になっています。まさしくコンパクトなまちを創る原点でもあるまちの中心が比較的元気な状態にあります。
 また、近年、鉄道高架とともに駅前広場や寝屋川親水公園などが整備され、まちのイメージも大きく変わりました。
 しかし、ハードの整備がなされたからと放っておいては、いつまでもまちの元気な姿を維持することは難しく、整備されたハードを活かし、市民の活動によりまちをさらに元気にしていくことが必要です。
 “特定非営利活動法人寝屋川市駅周辺まちづくりネットワーク(通称「NPO法人ねやまちネット」)”は、寝屋川市駅周辺をさらに「にぎわい」や「ふれあい」、「くつろぎ」など魅力を感じるまちにしていくために、行政と協働してまちづくりを推進していくことを目的に、地域住民や地域で活動する商業者、事業者、NPO、ボランティア団体などが連携し、平成18年3月に誕生しました。
 循環型社会の構築と地域経済活性をめざした「エコキャビン事業」、次世代を支える寝屋川の若者が音楽活動を通して健全な仲間づくりと地域に対する新しい意識の高揚を目的とした「寝屋音」、市民の心のふれあいをめざした「地域通貨事業の推進」の支援などとともに、商店街のにぎわいづくりや子どもに科学技術の興味を育むロボットづくり教室などを展開しています。
 さらに、駅周辺に整備されたハードを活かしたまちづくりをめざし、「まちづくり初動期活動助成」を活用し、地域に関わる自治会や商業者、消費者、大学生など多様な人々とワークショップや学習会を重ね、市民、事業者と行政が協働してまちづくりを推進するための「寝屋川市駅周辺まちづくりグランドビジョン」を市民の手で作成しました。
 「寝屋川市駅周辺まちづくりグランドビジョン」では、駅前の再開発ビルや親水公園などの活用方法や商店街のにぎわいづくりなど、多様な市民のまちづくりの活動の提案が盛り込まれています。画像




「住民主体の歴史と文化のまちづくり活動」

本町のまちづくりを考える会 会長  小泉 修一

 岸和田には、城下町の雰囲気とともに、当時のまち、町割、遺構がよく留められています。特に江戸時代の中心街であった本町地区の紀州街道の道筋には、本瓦葺き、中二階、出格子の立面で構成されるまちなみは、城下町の商業の中心地としての地位にふさわしい重厚さを保っています。
 本町地区では、こうした紀州街道、そして岸和田城下町の風情あるまちなみを守り育てるため、地区住民が中心となって平成6年に「本町のまちづくりを考える会」を組織し、まちづくりに取り組んでいます。
 これまで岸和田市の行う建築物の改修・修景助成、施設整備などのハード面のまちなみ整備と連携して、定期清掃や打ち水運動、「紀州街道にぎわい市」などの地域資源を活かした地域活性化イベントなど、主にソフト面でのまちづくり活動を行ってきました。
 平成19年度のまちづくり活動として、(財)大阪府都市整備推進センターのまちづくり初動期活動サポート助成を活用し、「住民主体の歴史と文化のまちづくり活動」と題して、主に2つのプロジェクトを実施しました。
 以下にこれらのまちづくり活動をご紹介します。

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板塀プロジェクト

画像 一般的にまちなみ修景は、建築物等の耐久性に問題を感じる所有者の申出により実現します。しかし、こうした待ちの姿勢ではまちなみ形成は遅々として進みません。そこで地域住民が直接実施主体となって、景観阻害要因であるトタンやブロック塀などを板塀で覆いまちなみを修景しました。


案内板プロジェクト

画像 本地区を訪れる方は増加していますが、道に迷う方をしばしば見かける状況です。こうした来訪者の回遊性と住民のホスピタリティの向上を図るため、地域資源であるだんじりのコマや梃子等を再利用して、手づくり案内板を設置しました。




「河内長野駅前にぎわいの里復活」

NPO法人 にぎわい河内長野21 理事長 塔本 勝

画像 河内長野には高野街道という歴史的な遺産がありますが、特にクローズアップされることもなく、市民や市民以外の方々にもPRできていない状況です。また、河内長野駅前は東西高野街道の合流要所として栄え、鉄道駅完成後は河内長野の「顔」と呼ばれる商業・産業の中心でありました。加えて、三日市町駅前は宿場町である三日市宿として栄え、近隣のニュータウン完成後はニュータウンの人々の生活の中心でありました。しかしながら、経済環境や競争状況が一層厳しさを増す中、消費の低迷、主要幹線道路サイド店の進出などにより、各駅前にとって大変厳しい状況が続いております。
 そこで、今年度は、「第1回高野街道まつり」と銘打って、高野街道をテーマにウォーキングやスタンプラリーを実施するほか、三日市町駅前の「第3回宿場市」と同時開催するなど、もう一度河内長野駅前に「にぎわい」を取り戻すべく、長野商店街協同組合や「にぎわい河内長野21」並びに「地元商店主」・「ボランティア団体」と協力いたしまして、平成19年10月21日(日)に“河内長野駅前「第4回にぎわいの里復活祭」”を開催いたしました。
 この事業は、ただ単に人を集めるだけが目的ではありません。河内長野駅前の歴史や風土を感じていただき、各商店や地元産業の良さを体験していただきながら、河内長野駅前の魅力をアピールしていきたいと思い、一日だけの事業ではありますが、事業終了後も河内長野駅前は、「いつも行きたい」・「気軽に行きたい」・「おもしろい」と言ってもらえるようにがんばりました。
 また、中心市街地の衰退が誰の目にも明らかとなり、河内長野駅前商店街でも空き店舗が目立ち始めているが、地域をひいては河内長野市をどのように活性化するかは商業者だけの問題ではありません。住民と、事業を営む者が一緒になって、地域の活性化とは何か、その方法も合わせて考える機会とし、地域に根ざした商店街と市民が手をとり、地域本位の社会づくりを行っていくため商店街と市民活動の連携を考えるフォーラムを開催しました。

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「枚方バースデーバスタウンマップ作成」
及び「公共交通でめぐる枚方八景スタンプラリー」

NPO法人ひらかた 環境ネットワーク会議(公共交通部会) 鎌田 徹


 ひらかた環境ネットワーク会議公共交通部会では、環境にやさしい公共交通の利用促進を図るため、これまで、くずは・男山地域を中心にバス路線の情報とまちの情報を合わせた「くずは・男山バスタウンマップ」の作成配布、及びそれを用いてのスタンプラリー等のイベントを実施してきた。
 今回は、(財)大阪府都市整備推進センターの「まちづくり初動期活動サポート助成」を受けて、枚方市市制施行60周年に呼応し、枚方市双六風公共交通タウンマップ「枚方バースデーバスタウンマップ」を作成し、お披露目イベントとして、「公共交通で巡る枚方八景スタンプラリー」を実施した。


枚方バースデーバスタウンマップの作成及び配布

画像・7月21日に「どんなマップにするか」のワークショップを開催した。 その結果、交通情報とまちの情報を十分に入れ、さらに、楽しみながらバスの運行経路を理解できるように、すごろくの要素を加えたマップを作成することとした。A1版4万2千部。
・マップの裏面には、公共交通と暮らし、環境や地域とのつながりなどを掲載した。
・マップの作成にあたっては、大阪大学大学院松村暢彦准教授の全面的なご指導を得た。
・マップは、市内小学校、希望する校区コミュニティ協議会に配布したほか、京阪主要駅、バス案内所、市役所各施設などを通じて、配布した。


公共交通でめぐる枚方八景スタンプラリー

画像・ 07年11月の1ヶ月間、公共交通を使って、枚方八景をめぐるスタンプラリーを実施した。また、11月11日には1日イベントとして、岡東町中央公園を起点に、スタンプラリーを実施した。(参加者総数204名)
・ アンケート「電車・バスなど公共交通機関に、これからもっと乗ってみようと思いましたか?」の問に、「とても思った」「思った」の合計は、83%に達し、公共交通利用の機会を提供する企画の有効性が確認できた。引き続き環境にやさしい公共交通の利用促進を目指す。

マップは右記ホームページに揚げています→http://www.hirakata-kankyou.net/

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