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  大阪の活性化を願い
知恵と誠意で新しい街を創る

都市基盤整備公団 理事・関西支社長 南部 裕一 氏
   このコーナーでは、さまざまな立場でまちづくりに携わる人々を訪ね、仕事に対する思いや横顔をご紹介します。
今回は、昨年6月に2度目となる大阪に赴任された、都市基盤整備公団の南部裕一関西支社長を訪ねました。

再開発事業の揺籃を拓く

高橋氏
南部 裕一(なんぶ ゆういち)
プロフィール
 昭和18年2月20日、福井県生まれ。昭和40年に日本住宅公団に入社。平成9年本社総務部長、11年中部支社長を歴任。昨年6月より現職。趣味は海釣りに地域の旧跡めぐりなど多彩。ゴルフでは、中坊公平弁護士の「埋木会」で優勝トロフィ獲得の実績も。
  私が街づくり事業に直接携わったのは、本社都市再開発部の課長に就任した昭和59年からです。
 当時は、日本経済がどんどん伸びており、これから再開発を進めて行かなければならないという時期でした。ところが、昭和44年に再開発法が施行されてはいたものの、実施サイドでは、いろいろ課題が多かったですね。海外の事例なども参考にして、当時の建設省の方々と一緒に必要な仕組みを作りながら進めてきました。不動産の証券化によって民間から資金を調達するという、SPC法やPFIのはしりといえる手法も、その当時から検討されていました。「日本の未来を考えると、こうした新しい仕組みの確立は公団の責務だ」と使命感に燃えて、一生懸命にアイデアを出し、勉強しましたよ。
 バブル崩壊による地価下落のあおりを受け、民活導入が難しくなった時期もありましたが、最近になって再びこの手法が注目されてきましてね。十数年経って脚光を浴びてきたことには、感慨深いものがあります。

都市基盤整備で大阪の活性化へ
 早いもので、入社してから37年。その間、九州支社を除く全国すべての支社で仕事をしてきました。関西支社は今回が8年ぶりの赴任になりますが、以前と比べると街に元気がないように思います。とはいえ、地力のある大阪ですから、きっかけがあれば活気が戻ってくるでしょう。私たちの役目は、街づくりによってそのきっかけを提供することだと、職員とも話しているんですよ。
 すでに具体的に動き出しているプロジェクトも、いくつかあります。JR大阪駅北のヤード、湊町地区、それらをつなぐ御堂筋一帯。そして、水都大阪を象徴する中之島から臨海部にかけての東西軸の整備などです。先日もあるシンポジウムで、臨海部の再開発について、開発権付きPFI、エンタープライズゾーン、それにスーパー区画整理の3つをセットした新提案をお話ししたんですよ。ちょっと熱が入りすぎたために、一般の方々には分かりにくかったかもしれませんが(笑)。実現すれば民間の知恵も活かして、海に沈む夕日を楽しめる高層マンションやファミリーで遊べるカジノのあるエンターテイメントモール…、何でもできます。とにかく、皆さんに“おもしろそうやん。行ってみようか”と言ってもらえるような街を作りたいですね。

逃げないこと、誠を尽くすこと
 再開発事業の黎明期には、夜通し語っても語り尽くせないほどの苦労がありました。そのなかで学んだのは、地域の方々と一緒に新しい街のコンセプトを考える姿勢の大切さです。それがないと、合意形成は非常に困難になってしまいます。それともう一つ、困難には真正面からぶつかり、決して逃げないことです。
 われわれの仕事のベースは、あくまでも相互信頼なんですね。信頼されるには、小細工をせず相手の前にしっかりと立ち、誠意を尽くし、責任をもって事に臨むこと。「百術は一誠に如かず」です。そうすれば良い工夫も生まれ、どんな問題も必ず解決できると、部下にも言い聞かせています。。


●取材を終えて
 一つひとつ言葉を選びながら、ていねいにお答えいただいた南部支社長。「百術は一誠に如かず」の精神が、その姿勢にもにじみ出ていました。ところで支社長は自他共に認めるアイデアマン。その秘密をお聞きしたところ「常に考えること」とか。努力を続けることが非凡と凡の差と、改めて認識しました。

聞き手 藤近雅彦


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