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整備が進むくすの木タウン萱島
  寝屋川市萱島東地区の密集住宅市街地整備促進事業について特集します。
同地区は、昨年10月に開かれた「住宅月間記念式典」で国土交通大臣表彰を受賞しました。
また、同地区の共同建替事業が第21回大阪都市景観建築賞(大阪まちなみ賞)の奨励賞を受賞しました。
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くすの木タウン萱島
寝屋川市萱島整備課 課長 岡本 政生
 
萱島東地区地図はじめに
 寝屋川市では、京阪電車萱島駅の東側に高度経済成長期に形成された老朽住宅が密集した「萱島東地区」48.7ヘクタールにおいて、密集住宅市街地整備促進事業により、行政による公共施設整備や民間による木造賃貸住宅等の建て替え誘導を行うなどの整備に取り組んでいる。
 萱島東地区の面的整備を進めていくに当たり、当地区内の大規模低利用地等を活用した住宅密集市街地の整備方策について、大阪府住宅供給公社、(財)大阪府都市整備推進センターの協力を得て、大阪府、国土交通省との調整を図り検討を行い、新たな整備計画の内容をとりまとめ平成8年度より整備を行っている。
 住宅密集市街地の面的建替促進ゾーンを中心に「重点整備地区」を設定し、既に面的建替が終了している東大利地区での経験を生かしながら建替え支援策を強化するとともに、大規模低利用地において従前居住者の受皿住宅建設等地区全体の活性化につながるよう、多様な都市型住宅の供給と地域の新しい交流の場となる「拠点的開発地区」の整備とリンケージさせることにより、萱島東地区の面的整備を強力に推進し、木造賃貸住宅等の建替えにより建物の不燃化促進を図るとともに、幹線道路・主要生活道路等の整備促進、避難空間の確保、消防用水利の整備など住環境の改善や災害に強いまちづくりを推進している。


1.重点整備地区における面的整備

 密集住宅市街地整備促進事業による整備計画(昭和59年4月大臣承認)において定められた面的建替促進ゾーンを中心として、地権者の建替え意向の高い区域約6.9ヘクタールを重点整備地区として平成8年度に位置づけ、その後平成11年度に約3.3ヘクタールを新たに付け加え、現在約10.2ヘクタールの重点整備地区として、主要生活道路(幅員6.7メートル)や公園(1か所約500m2)等の公共施設の重点的整備を図るとともに従来からの建替え助成制度に加え、新たな建替え支援策を強化し、建替等の面的整備を促進している。

《新たな建替支援》
(1)一定要件の老朽した住宅を寝屋川市が買収除却し、家主による建替えを支援する。
(2)個別に行われる建替えにおいても一定の基準を満たす場合、大阪府民間賃貸住宅建設資金利子補給制度による金利1%(当初5年間)の超低利融資を適用する。
(3)拠点的開発地区に建設する受皿住宅への従前居住者の優先入居あっせんを行う。
(4)大阪府住宅供給公社が建設する受皿住宅への従前居住者の入居については、一定期間寝屋川市が家賃補助を行う。

 平成8年から今回の事業を開始し、修復事業としての小ゾーンの積み重ねによる建替等を進めている。重点整備地区、新重点整備地区の全住宅戸数約1,500戸+700戸の内、約700戸+120戸の建替を目指すこととし、既に199戸+27戸の老朽住宅の解体撤去を終え、5棟の共同建替等が完成している。主要生活道路については、18%+63%の整備率となっており、萱島東地区全体では47%の整備率となっている。公園についても、3か所で用地買収を行っており、57%、35%、100%の買収率となっている。
 共同建替については、寝屋川方式(2重壁方式→敷地境界線上に2重の壁を作り、自分の敷地に自分の借家をたてる。)を採用しながら建替を進めている。

《みんなの遊び場大作戦》
 公園の用地買収(約500m2)が12年度に完了した箇所について、13年度に住民参加の公園づくりとしてワークショップ方式を導入し、公募による3歳〜72歳までの地域住民32名が参加され、住民から親しまれ愛される公園づくりを計画段階から協働作業を行い計画案をまとめたところである。14年度には整備工事を始める予定となっている。
民間建替事業の状況


共同建替された賃貸マンションと主要生活道路
共同建替された賃貸マンションと主要生活道路

2.拠点的開発地区の整備
 密集住宅市街地整備促進事業に加え住宅供給に必要な公共施設整備を行う住宅市街地整備総合支援事業(平成8年度大臣承認 15.9ヘクタール)との合併施行として取り組みを行っている。その内大規模低未利用地5.2ヘクタールにおいて「拠点的開発地区」と位置づけ、大阪府や大阪府住宅供給公社による多様な住宅建設や周辺道路整備、緑道、親水公園整備等を行っているところである。
公共施設の整備状況 平成10年度
住宅月間建設大臣表彰受賞
住宅金融公庫総裁表彰受賞
写真
住宅整備状況

おわりに
 萱島東地区の整備は、「重点整備地区」と「拠点開発地区」をリンケージさせ、色々な事業メニューを活用しながら事業をすすめている。
 親水公園の一部完成や主要生活道路の完成等に伴い、大分事業の姿が見えてきたこともあり、平成11年8月8日に、多数の関係者が出席のもとに「まちびらき」を行い、稚魚の放流、ガーデニング教室、地震体験等の色々なイベントを行い、地元の子供から大人まで多数出席され盛大に行われた。
 全国からまちの愛称を募集し1,247件もの応募があり、審査委員会で地元委員から子供の頃よく楠木の下で遊んだ話をされ、その事がきっかけで応募の中から「くすの木タウン萱島」が選ばれ決定した。重点整備地区、拠点開発地区、地区中央を走る都市計画道路やくすの木をデザインしたロゴマークも決定した。
 「最近、萱島のまちが変わってきた。」とよく耳にするようになり、平成13年10月の住宅月間において、国土交通大臣より事業の成果が認められ表彰を受けた。自治体や同じ様な事業を考えている住民、コンサル、学生等から萱島のまちづくりの問い合わせや視察に多数来られ、その対応に追われることもある。
 事業がここまで進んだのは、まちづく協議会、大阪府、大阪府住宅供給公社、(財)大阪府都市整備推進センター等関係者の協力があったからだと思っている。ほんとに感謝している。今後も、萱島のまちづくりにご協力、ご支援をお願いします。

「くすの木タウン萱島」国土交通大臣表彰を受賞
 10月4日、名古屋市で開かれた「住宅月間記念式典」で、寝屋川市萱島東地区整備事業「くすの木タウン萱島」が国土交通大臣表彰を受賞しました。これは、寝屋川市が萱島東地区で進めている、住宅密集地域の重点整備地区と拠点的開発地区を連携させたまちづくりの功績が認められたものです。

共同建替事業大阪まちなみ賞の奨励賞を受賞
 12月7日、民間建替事業第1号第2号の「萱島桜園町第1・第2地区共同建替事業」が第21回大阪都市景観建築賞「大阪まちなみ賞」の奨励賞を受賞しました。
 これは、老朽住宅密集地区での建替事業のモデルとしてすぐれた都市景観を生み出し、周辺地区での建て替えも進んだと評価されたものです。

拠点開発地区の整備状況
拠点開発地区の整備状況


  ー変わってきたやん萱島東ークリア
拠点的開発地区における公社住宅の供給について
大阪府住宅供給公社 都市整備課
 
1.拠点的開発地区における公社の役割について
 密集市街地である萱島東地区において、良好な住宅・住環境の整備と防災性の向上を図るため、密集住宅市街地整備促進事業等によって計画的に整備が行われており、大阪府・寝屋川市・(財)大阪府都市整備推進センターと当公社が連携しながら事業を進めています。
 当公社は「拠点的開発地区(5.2ha)」において、工場跡地等大規模低未利用地の用地先行取得を行うとともに、重点整備地区での建替えに伴う受け皿住宅や地域の活性化に繋がる多様な都市型住宅の供給を行ってきました。また住宅整備に併せて、既存水路を取り込んだ親水公園とせせらぎのある緑道を住宅市街地整備総合支援事業により一体整備。市施行による細街路を拡幅整備した主要生活道路と共に、まちづくりの基盤整備を行いました。一方、防災性向上の為、耐火建築の住宅が街区を形成することによって、密集市街地における防災拠点的機能を持たせています。

2.拠点的開発地区整備事業の第1弾
公社特定優良賃貸住宅「いらか」団地

 平成9年1月、当公社では、全国で初めての定期借地権方式による公社直接供給型特定優良賃貸住宅「いらか」団地(49戸)を完成させました。
 「いらか」は低家賃と居住環境の良化をテーマにしています。低家賃を実現する方策として、拠点的開発地区内に残っていた農地を、公社が土地所有者から一般定期借地権(賃借権方式70年)で提供を受け地価負担の軽減を図り、特定優良賃貸住宅制度との組合せにより建設コストを大幅に引き下げ、市場家賃以下の低家賃を実現しました。
 建物の外観は、密集市街地内という条件を考慮して階数を3〜4階に抑え、屋根の高さに変化を持たせると同時に周辺の街並みに馴染むよう瓦葺きとすることで、近隣住宅との連続性を持たせ周辺環境との調和を図っています。また、中庭を中心に住棟をコの字形に配置し、居住者の共有意識を高められるようにする一方、各戸は空中廊下で繋ぎ、独立性の高い2面開放で高い居住性を確保しています。
 老朽木造賃貸住宅の建替に伴う従前居住者の受け皿住宅として、14戸が市の斡旋により優先入居しました。また、当公社は同地区内に平成12年度、特定優良賃貸住宅「萱島南町」団地83戸を完成させています。

3.萱島・新町家「ネイキッドスクエア」
 当公社は、コープ住宅推進協議会(以下、コープ協)との共同企画による定期借地権付コーポラティブ住宅萱島・新町家「ネイキッドスクエア」37戸を完成させました。
 当事業は3つの大きな特色を持っています。1つ目は一般定期借地権(地上権方式60年)の導入。2つ目はコーポラティブ方式の導入。3つ目は、接地型連棟住宅配置(長屋方式)による、新町家型タウンハウスの創出です。
 コーポラティブによる建設組合参加者の募集を平成9年から行い、(株)ヘキサを中心とするコープ協のメンバーがコーディネイト及び設計相談を行い、建設組合発注による建設工事を経て、集合した37戸が調和を保ちながら、一方で個性的な街並みが平成11年3月、姿を現わしました。

4.萱島コープシティ・プロジェクト「エルフラッツ」
 当公社の拠点的開発地区おける最終事業であり、萱島における総まとめ的事業と位置づけ、ネイキッドスクエアをマンション型に発展させた、全体88戸の大型コーポラティブ住宅として、コープ協と共同で事業企画及び基本方針を策定。まず1つ目は、基本計画段階でスケルトンを固定するブロックプラン方式(住戸プラン変更可能にするための計画の2段階方式)を採用すること。2つ目は分割建設可能な計画とすること。3つ目は高層集合住宅の魅力を発揮させるものとして、逆梁工法の採用や、従来の片廊下の閉塞感から脱却した共用部計画とすること。4つ目はライフサポート施設を組み入れる。以上4つのコンセプトを固めました。
 1期工事(42戸)はコーポラティブ方式により平成14年2月末竣工を目指して工事が進められており、2期工事(46戸)は公社一般分譲方式(計画変更対応方式)により、1期竣工より1年後の完成を予定しています。
エルフラッツ萱島 全体イメージイラスト
エルフラッツ萱島 全体イメージイラスト


おわりに
 当公社は、拠点的開発地区において定期借地権やコーポラティブ方式との組み合わせ等、積極的に新しい住宅供給手法の導入に取り組んでまいり、密集市街地改善に向け着実にまちが変わりつつあります。
 安全で快適な住まいと緑豊かな環境が調和する魅力あふれるまちへ。当公社は府内の密集市街地のまちづくりに今後も積極的に取り組んでまいる所存です。

  ―まちづくりとコーポラティブ住宅の連携―
HEXA 安原 秀
 


 萱島東地区拠点的開発地区での大阪府住宅供給公社事業の大きな特徴は、「需要者参加による住宅供給」手法が導入されていることであり、手法がより有効性を発揮するようにコープ住宅推進協議会関西(現NPO法人)はその部分の事業推進をバックアップしています。
公社用地でのゾーニング計画の要点は4ページの図に示すように、道路に囲まれた地区の内部に将来府営住宅ゾーンに達すると想定した幅員9mの緑道と水路改修による親水公園を十文字に配し、これら2つのオープンスペースを介して3つの住宅群が出会い、地域レベルでのコミュニケイションの展開がなされることを期待していることです。現在すでに「ネイキッドスクエア」と「萱島南町」が完成して成果の一端は見えていますが、注目すべきは公園を訪れる人たちの数が多いこと、特に若者たちにはネイキッドスクエアの住人が少々悲鳴を上げているほどです。彼らのマナーには注意が必要ですが、地域に今までなかった心地よい環境が出来ている証しと考えてよいと思います。以下、需要者参加によって進められている事業の紹介によって整備状況をお伝えします。

《ネイキッドスクエア》
 既存街並みとのスケールギャップと防災への配慮から形式を採用した3階建・型枠コンクリートブロック壁式構造、街路形成型住棟のコーポラティブ住宅で、定期借地ゆえに可能となったゆとり空間で駐車場を兼ねた中庭広場を構成したことが最大の特徴となっています。計画に際してこの地域でのモデルとなりうる住戸形式の提案をめざしましたが、同一パターンを繰り返す平面区画から変化に富んだ外観が立ち上がり、街並み形成に魅力をもたらすことが出来たと考えています。これはコーポラティブ方式が可能にした自由な住戸計画による巧まざる変化の結果でもあります。入居して約3年になりますが、住人の皆さんは緑道を含めた住環境にすっかりなじみ、大切にしています。

《エルフラッツ萱島》
 隣接する「萱島南町」と同じく10階建で、一体的に景観形成するように配置計画をしています。計画内容はスケルトンは固定、インフィル設計を自由とする集合住宅で、建設方式は1期(42戸)をコーポラティブ方式、2期(46戸)は公社一般分譲・インフィル自由設計可能として、それぞれに入居者の希望を反映させた住宅づくりを進めています。
 計画のもう一つの特徴は共同利用施設にコミュニティキッチンスペースを予め確保しておいて、施設を多面的に活用するための居住者による醵金と運営システム作りを提案していることです。基金を活用して、例えば小さなパン屋の経営を行なって共同生活の核を作りながら幾分かの利益を生み出して、暮らしのサポーターを起用できる生活支援態勢の実現をはかる等、少子高齢化、単身世帯増加、余暇活用など直面する社会変化に地域ぐるみで対応する集住生活の仕方を作り出そうという試みです。現在1期入居者による議論を進めており、いずれ2期の人たちとの合流をはかる予定で、コープ住宅推進協議会も支援を約束していますが、住居を単なる住処の集合で終わらせない環境が生まれればたいへん有意だと考えています。


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