いいこといっぱい まちづくり わいわいガヤガヤみんなで公園づくり
〜ワークショップによる住民参加型の公園づくりの事例から〜

やった-、僕たち私たちの公園だー

 2003年3月2日、「いちじく公園(寝屋川市萱島東3丁目)」の完成を祝う、住民のみなさんによる手作りのオープニングイベントがにぎやかに開催されました。
 たった一つの小さな公園の完成をこれほどみなさんが喜ぶ、そのわけを探ってみました。
 ここ萱島は、木造密集市街地のエリアとして、住環境改善に取組んでいる地域、その地域の中の公園を作る手法として採用されたのが、最近よく耳にする「ワークショップ」でした。
 萱島東3丁目に公園をみんなで作るワークショップは2年前の夏休みに3回行われ、3才から70代までの34名の皆さんが参加、4班に分かれて活動を行いました。第1回目は、みんなで手をつないで公園の大きさを測ったり、周辺を歩いて生き物や植物、まちの様子を自分たちで観察したり、地区の状況をみんなで把握しました。続く第2回目は、公園にどんな空間やものが欲しいか、思い思いに意見を出し合って、公園の大まかなゾーニングを班ごとに表現してみました。最後の第3回目は4つの案をまとめてひとつの案にする作業を全員で行い、公園のニックネームをみんなで決めました。
 3回のワークショップがもたらしたもの、それは、それまでは顔は知っていても声を交わしたことのない大人や子供が、集まって共同作業をすることで世代を超えて仲良くなったこと、また、自分たちで歩いて地域を知って、公園を考えたことが、自分たちの作った公園という意識を生み出して、愛着の持てる公園ができたことでしょう。
 ワークショップから完成まで約1年半。工事の間も、子供たちは公園の完成を待ちわびていました。また、自治会でも、ワークショップをしているときから、オープニングイベントをすることについて決めておられ、公園は地区全体の関心事だったのです。

オープニングもにぎやかに
キーパーソン・竹林自治会長
ワークショップ同窓会
ワークショップ同窓会
いちじく公園全景

 完成から約半年後の7月下旬、ワークショップの同窓会を呼びかけ、竹林自治会長をはじめ当時のメンバーが集まり、完成後の公園についてのワークショップを行いました。
 密集地区内にできた公園は、とても貴重な空間で、お弁当を友人同士で食べる姿が見られたり、幼稚園の散歩コースになっていたり、遠くからも子供を連れて遊びに来たり、様々な人々の交流の場になっているということ、みんなで考えた公園なので、プランに関する不満は少ないことなど、皆さんの活発な意見から、いちじく公園がコミュニティの一つの核になっていることがわかります。あずまやの屋根に子供が登るとか、夜になると若者の溜まり場になるなどの問題もあるようですが、それも、地域の皆さんの目で関心を持って注意しあうという環境も育っているようです。
 ワークショップをしたことが、愛着を持っていちじく公園を地域で見守っていこうという気持ちにつながり、まちのコミュニティのひとつの大きな核に育てる芽となっているように感じます。そして、実際とてもきれいに管理されています。
 このワークショップが成功した理由をワークショップのスタッフとして活躍された都市環境計画研究所の田村さんに聞きましたが、

公園の大きさはどのくらい?
公園の大きさはどのくらい?
「ここに滑り台、ここにはブランコ」子どもたちもいきいきと参加
「ここに滑り台、ここにはブランコ」子どもたちもいきいきと参加
みんなの意見でひとつの公園ができました
みんなの意見でひとつの公園ができました
ワークショップ同窓会
  ワークショップ同窓会
1.

キーパーソンの存在:竹林自治会長が大変熱心で、参加呼びかけからみんなのまとめ役まで、積極的にサポートしてくださったこと。

 
2.

幅広い参加者:お年よりから子どもまで、偏らずにいろんな意見が出されたこと。(大人が多いと子供は意見を出しにくく、自由な発想が出にくい)

 
3.

夏休みの昼間に開催:実際に公園をいつも使うメンバーが集まることができた。子どもは、夏休みの自由研究の課題にも使うことができた。

 

この3点が大きな成功のポイントだとのことです。
 しかし、忘れてはならないのが、ワークショップを先導していくスタッフの力量です。大人、子どもの中で、みんなの意見を上手く引き出すスタッフの存在がなければ、ワークショップは成功しなかったかもしれません。

取材・文 小西雅博・吉川玲子

 

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