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  人の和を大切に 前向きな姿勢で
活気あるまちづくりを

大阪府住宅供給公社 理事長 松尾 純 氏
   このコーナーでは、さまざまな立場でまちづくりに携わる人々を訪ね、仕事に対する思いや横顔をご紹介します。 今回は、昨年4月に就任された大阪府住宅供給公社、松尾純理事長にお話を伺いました。

移り変わる大阪のまちを 見つめて

高橋氏
松尾 純(まつお じゅん)
プロフィール
昭和16年5月25日生まれ、長崎県出身。昭和41年大阪府に入り、平成3年建築部建築指導課長、平成5年建築部副理事兼住宅政策課長、平成7年建築部技監、10年建築都市部長を経て12年より現職。楽しみは、みんなとにぎやかにお酒を飲み、カラオケで盛り上がって友好を深めること。
  私が大阪府に入ったのは昭和41年で、住宅建設に携わる建築部、大阪国際空港の周辺整備事業を行う生活環境部、企画調整部、建築都市部など、35年に渡っていろいろな部署で仕事をしてきました。その時々で、移り変わる行政課題を解決すべく努力を重ねてきましたが、当初からみたら大阪のまちは随分変わりましたねえ。  奉職当時は、地方から大阪に人がどんどん流れ込んできた人口増加の時代で、我武者羅に家をつくっても追いつかない状態でしたから、公営住宅も量 産する一方、大阪は「爆発する都市」と言われており、違法建築のかたまりみたいな地域もあった(笑)。バブル以降は「成熟する都市」として、まちを整備する時代へと大きく転換しています。でも、“秩序あるまちへ”と考えるあまり、ここは商業地、そこは住宅地…と平面 的なゾーニング計画に偏ることには疑問を感じます。地域によってニーズが随分違うから、もっと、いろんな切り口で考えたらいい。ある程度ゴチャゴチャしていても、まちは複雑な機能の絡み合いで活気が出るものだと思います。


前向きな情熱と話し合える雰囲気が大切
 若い人には、知識以上に仕事の進め方や考え方を学んでほしいと考えて接してきました。保守的ではあかん。まちづくりにはいろんな法規制が絡んできますが、ただ法律を守るだけでなく必要なら法律を変えるくらいの気構え、いわば「進取の気鋭」で、前向きに取り組むことが大切ですね。私は平成4年の建築指導課長時代に、人にやさしいまちづくりを目指すための全国に先駆けた自治体条例「大阪府福祉のまちづくり条例」をつくりましたが、これは府民の方々の要望に、進んで取り組んだからできたことです。新築のみならず既存の建物についても、エレベーターの設置や段差をなくすなどの改善を要請できるようになりました。  でもこれは、自分ひとりの力でできた訳じゃない。仕事は「天の時」「地の利」「人の和」が大事で、この条例も国際障害者年の最終年というタイミングと、新しい考えを進んで取り入れる大阪の風土があってこそ。それと、日頃から培われてきた人間関係。意見をフランクに交換できる雰囲気も大切です。「万機公論に決すべし」、ひとつのテーマに対して忌憚なく話し合えば、みんなが同じ価値観で進んでいける。「なるほど」「そやな」「いきまひょやないか」ということが組織のパワーになるのです。

民間のできないことに 力を注ぐ
 かつては住宅の“量”を確保することが公社の大きな役割でしたが、時代の変化とともに、住まいへのユーザーニーズが多様化し、公社の役割も変わってきました。本来、公社は民間と競争するような団体ではないのですから、これからは民間が活躍できる場を積極的に提供して、公社は民間ができないことに力を入れるべきではないかと考えます。例えば、高齢者・単身者の方々のために住宅を提供することや、次世代型住宅のモデル事業など、民間では取り組むのが難しい部門を公社がリードして社会的ニーズを先取りし、今後も府民のみなさんのご要望に応えていきたいと思っています。



●取材を終えて
 ざっくばらんな庶民派理事長―松尾理事長のお話を伺って、私が受けた印象です。まちに住む人、働く人の気持ち、そして事業に携わる多くの人の和を大切にされる姿勢には、感銘を受けました。新しい時代の新しい大阪府住宅供給公社の舵取り役として、ますますのご活躍を期待しています。

聞き手 藤近雅彦


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