街かどウォッチング 駅と景観
京都大学大学院 川崎雅史准教授
丸の内の街路整備
丸の内の街路整備
 駅をめぐる景観は、駅舎建築とそれに接続する鉄道高架橋、駅ビル、駅前広場などの多くの要素で構成されるが、都市景観の中にあって大きな広がりをもつ景域として認識される。とくに駅舎と連関する要素間の構成と街へのつながり方が、景観にもまた人々の行動認識においても重要なポイントになる。現在でも複数の主体が関わる施設要素を一連のグランドデザインとして事業展開を行うことは難しい状況にある。しかし一方で、京都駅、札幌駅など駅ビルの開発には話題が集中し、街の眺望を楽しむ新たな広場が出現した点で、駅の魅力が認識されてきた。難波パークスも、人を屋外の環境に対して開くこと、都会の中にあって緑の自然を感じさせ、機能的、無機的なターミナルに空やランドスケープに対する視野が開け、また道頓堀などの水辺整備などと連動して、水や緑のある開放的な街づくりの景観再生の位置づけにあると思われる。衰退や雑多なイメージを払拭して、新たな景観を展開させたことの意味を再認識したい。駅は、本来街からの要請に基づいてデザインの目標像が定められるべきものであろう。
 近年、東京駅周辺にも新たな景観が展開した。東京駅の赤煉瓦駅舎は、皇居に対峙して都市軸であるブールバールの拠点であり、近代都市の象徴的な風景を形成してきた。長年変化のなかった景観に、鉄道高架橋の整備、丸の内の再開発、周辺街路整備等が行われ、駅と周辺の街に新たな景観が加わった。中央線の東京駅付近の高架橋は、直線基調で重みのある駅とは対称的に、アーチの変断面のフォルムや橋脚に流れやリズム感を与え、桁下空間に軽快さを与えた。また、丸の内周辺の再開発では、十数年の間にわたり東京都や区、地権者グループがそれぞれ景観のプランや開発の方向を進めてきた経緯がある。新丸ビルなど商業ビル内部のデザインは、アールデコ調で重厚なデザインで話題ともなっているが、近代建築のデザインイメージから展開した点で駅とのつながりが出てくる。周辺街路も、豊富な植栽や街路照明、広告塔などを配置して無機的な官庁街を払拭し、賑わいある街を創出する試みを行っており、歩道と車道を含めてレンガ系舗装で整備を行い、駅舎と商業ビルとのイメージを素材や質感でつなげている。
 駅から道へ、そして街への景観のつながりは、景域の目標像を洞察し、素材感やディテールを丁寧につないで編集していくことによって生まれことを改めて認識したい。




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