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歴史的な「地域資源」を
活用した安全なまちづくりについて
大阪府堺市・湊西地区

はじめに
 歴史的な街並みが残る湊西地区は、旧都心部(環濠都市)から南に延びている紀州街道を軸として、古くから街道沿いの町並みが形成され発展しました。紀州街道沿いの建物敷地は、奥行きの長い形状をしており、街道に面する部分には寺院や民家などの歴史的な建造物があり、その裏宅地では明治・大正・昭和初期に建てられた木造賃貸住宅の長屋が現在も多く残っています。 
 一方、平成14年度に大阪府にて策定された「大阪府インナーエリアの再生指針−密集市街地の緊急整備に向けて」の中で、アクションエリア(大火の可能性の高い危険な市街地で、重点的に整備する地区)として位置づけられ、今後10年をめどに、重点的に再生を図っていくこととされ、防災性の向上を図る道路整備や不燃化への建替え等、ハード面の取組が必要になって参りました。
 現状では、都市基盤整備の急速な進展が見込めない状況ですが、整備に先行して地域の特色である歴史的な建造物や、当地で永く培われてきたコミュニティなどの「地域資源」を活用し、住民相互の助け合いや連帯感高揚への取組により、緊急時の防災性向上につなげていくことが重要と考え、ここではその主たる方策について提案を行ないます。

地域資源は人々のきづなと歴史的建物です
 当地区は、住宅の老朽化・狭小などの居住環境の問題や、消防活動困難区域や不燃領域率の低さ等の防災面の課題も抱えていますが、今も残る井戸の中には、現在も生活に使われているものがあり、お地蔵さんの世話を12〜13軒の隣組で行なったり、保存会が中心となり年2回のお祭りでふとん太鼓をかつぐなど、地域コミュニティが確かに築かれているとともに歴史的建築物や江戸時代から続く漢方薬店などと共に貴重な「地域資源」となっています。
 このように一般の密集市街地とは違った特徴をもつ当地区では、これらの「地域資源」を積極的に活用しつつ、総合的なまちづくりを展開することが重要であります。

紀州街道
ふとん太鼓(船待神社)
ふとん太鼓(船待神社)
旧堺市湊郵便局
紀州街道
旧堺市湊郵便局

安全・安心はご近所の底力で守る
 従来の密集市街地の整備では、行政が主体となり防災面や居住水準・居住環境などの問題がある地区を抽出し、主要生活道路の整備や、行政指導による建替えを行うなど、問題点の解消や軽減を行なうまちづくりが進められてきました。湊西地区では、主要生活道路の整備や不燃領域率の改善を直接の目標として進めるのではなく、ハード・ソフトの「地域資源」に着目し、地域の特性を活かしながら、行政と住民とのパートナーシップによる、住民相互のコミュニティ活動、助け合いなどのソフト面の活動を通じて、住民が考え、住民自身で出来ることから取り組んで行くことが、地域の課題解決への大きな力になると考えています。
 ここでは、まちの再生や安全を考える視点を3つ設定し、ソフト面での活動を通して実現する取組みを考えています。
●知ることからはじめる
●やさしいまちづくり
●安全・安心のまちにむけて

船待神社
船待神社
紀州街道2
紀州街道

中筋と紀州街道の通り道
中筋と紀州街道の通り道

大阪府堺市・湊西地区位置図

井戸のある路地道
井戸のある路地道

お世話しているお地蔵さん
お世話しているお地蔵さん
延長寺の長屋門
延長寺の長屋門

IIIII 知ることからはじめる IIIII

 長屋周辺に点在する井戸・地蔵などを核とした古くからの人間関係を活かしたり、地域内の自治会・各種団体との連携、高齢者の見守り活動や、高齢者による紀州街道沿いの貴重な町家や歴史的街道の昔話を住民や訪問者が聞けるような仕組みづくり、場づくりにより、まちへの愛着や連帯感をより一層強く持つような取組みを行なう。
 

 このように湊西地区では、主要生活道路の整備や建替えの促進など相当な期間を要するハード面の取組だけでなく、長い年月によって培われた地域の特性を再確認する中で、今まで忘れ去られていた自分たちの町の良さを振り返り、住み続けていく誇りと自信に裏打ちされた、まちの活力をとりもどす取組が必要です。隣組など身近なコミュニティを通して連帯感を強め、自分たちの町は自分たちで守るという気概のもと、地域の防災に取り組んでいくことが、行政によるハードの取組みとともに、まちの再生や安全にとって重要なのです。 
 従来のようにここは危険とか、火事や地震が起こればここは危ないとか、マイナスの面から考えるのではなく、地域のプラス面、特徴、個性を伸ばすことが必要であり、その原動力である住民の意識の有り様が大事ということです。
 なお、まちづくりにつながる地域の自発的な活動を支援する制度として、本年度、大阪府において「ご近所の底力向上」社会実験が事業化され、湊西地区がその1つとして採択されました。
 湊西地区の連合自治会では、自らの「地域資源」である歴史的な街並みの良さを再認識し、今後のまちづくり活動につながるタウンウォッチング等を通して、街に花を植える「ちょこっとガーデンプロジェクト」を企画し、社会実験として取り組んでいます。

       まちづくり事業部 西山太一

   

IIIII やさしいまちづくり IIIII

 これまで育まれてきた伝統的建物形態を活かしながら、現代の生活スタイルに合った住まい方や、木造住宅の耐震補強の実現などに加え、住民による空地の暫定的な植栽や玄関前の緑化により、災害時の緩衝帯としての役割を果たすだけでなく、まちに潤いを与えるなどの取組みを行なう。  

 
   

IIIII 安全・安心のまちにむけて IIIII

 ふだんから近所付き合いのある隣組などを活用した共助・連帯意識の拡がりにより、災害時の地域防災体制を強め、初動期の救援活動の円滑化への取組を行なう。

 

ちょこっとガーデン タウンウォッチング
ちょこっとガーデン タウンウォッチング

ちょこっとガーデン ワークショップ
ちょこっとガーデン ワークショップ


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