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お年寄りが住みやすいまち
密集市街地のまちづくり
(財)大阪府都市整備推進センター 常務理事 中西 修二

 6月のある日、密集市街地を自転車で走ってみた。守口の八雲東では、ちょうど、子供達が学校から帰ってくる時間で、保育所前の公園では、遊ぶ子供達がいっぱいで、ベンチに腰掛けたお年寄り達もおしゃべりをしながらそれを見守っていた。また、クルマの入ってこない路地では、小学生が車座になり幼児も入って、なにやら一生懸命に話をしていた。それを、文化住宅の2階からじーっと見守っているお母さんらしい人がいた。こんなに子供達がいきいきとしているのを見るのは久しぶりであった。今、世代間交流が必要と多くの人がいっているが、八雲東では、なにもむつかしいことをいわなくても、自然と交流がなされているのを目の当たりにした。木賃住宅が建替わって、新しい住民が入ってきているためだろう。路地や道端では、ちょっとした花壇や鉢植えが至るところにあり、目を和ましてくれる。落ちたら危険だと思うが、物干しにプランターが5つぶらさがっていた。地面の少ないところで、お年寄り達が一生懸命に草花を育てているのである。
 豊中の庄内では、自転車に乗っているお年寄りの多いことに驚かされた。地形が平坦だから自転車に乗りやすく、おじいちゃん、おばあちゃんがバンバン走れるのだ。ぼくも自転車が好きなだけにうれしくなった。文化住宅の近くを通った時、台所からなにか煮物のにおいがし、“トン、トン、トン”と包丁でものを切る音が聞こえてきた。団地にはない音風景で、人が生活しているんだと実感できる。
 豊中市に在籍時、2年間庄内を見てきたので、まちの様子はある程度わかっていたが、密集市街地は子供やお年寄りには本当に住みやすいまちなんだと、改めて思った。いままでも、いろんな人に、「密集市街地は負の遺産っていうけど、ほんまは年寄りにとって、住みやすいまちなんや。なんちゅうても、物価が安いし、住みごこちはちょっと悪いけど家賃が安い、店や食べもん屋もいっぱいあるし、お医者さん、風呂屋も近い、それに、道が細いから(消防車は入りにくいけど)クルマ入ってけえへんからあぶなないし、歩きやすいまちなんや。」と力説している。ぼく自身、年とったら、住みやすく、コロッケのおいしい肉屋さんのある庄内に引越すのも悪くないと考えている。
 このようにいうと、木賃の建替えや道の拡幅などはしないほうがよいように聞こえるが、やっぱり地震がくればこわい。密集市街地に元からいる人達の多くは、かつて地方から大阪へ出てきて高度経済成長を支えた人達である。この人達ががんばったから、今の大阪がある。だから、この人達にとって、住みやすく、しかも安全なまちにしていきたいと切に望んでいる。このため、賃貸住宅の市場動向や財政逼迫(ざいせいひっぱく)など事業環境は厳しいが、木賃住宅の建替えや防災環境軸、主要生活道路の整備など、事業の重点化を図り、メリハリのある事業展開を進めていく必要がある。センターとしても、原点に立ち返り、事業の掘り起こしや住まいづくり・まちづくり協力員制度の一層の活用、防災街区整備事業等の面整備事業の促進など、「事業」を中心とした活動に力を入れ、取り組んでいきたい。
 最後に是非述べておきたいこととして、密集市街地はお年寄りにとって住みやすいまちであるが、人口バランスを考えると、緩やかな人口の新陳代謝を促すことが重要である。そのためには、成長階層であるファミリー層の入居が多くみこまれる分譲マンションも、建替えの補助対象とすべきではないだろうか。

イメージ写真


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