まちづくり探検隊

記念館  

書斎

 「当記念館は、見る記念館ではなく、感じる、考える記念館です」「ここでゆとりや、余裕を取り戻していただければ」取材にご協力をいただいた上村館長のお言葉です。
 入口を入ると、呼吸が聞こえてきそうなほど、瑞々しい樹木に覆われた庭が迎えてくれます。小道に導かれるまま進むと、右手には切り取られた絵のように、樹間を通して司馬遼太郎氏の自宅書斎の窓を見ることができます。
 記念館は建築家安藤忠雄氏が設計したもので、ゆるいカーブを描くガラスとコンクリートに挟まれた通路を通って、内部に入ることができます。
 取材に訪れた日は、平日の午前中だったのですが、高さ十一メートルの大書架に収められた二万余冊の蔵書に囲まれた空間に佇む、来館者の方々が見受けられました。
 そこには、肩を張らず気取りのない空間。そして来館者の心を静かに揺さぶる、ゆったりとした時間がありました。
 東大阪市の住宅地に建てられた記念館には、全国から人々が訪れます。また、当記念館にはボランティアとして約三百名の方が登録されていると聞きました。
 大阪が生み出した偉大な作家、大阪にこだわりつづけた故司馬遼太郎氏を介して、人々の交流が生まれています。
 「この記念館が、大阪のまちづくりへの『文化』からのアプローチの一つになれればと考えています」これも館長のお言葉です。
 記念館はまさに、何かを感じさせてくれる空間でした。その『何か』は、人それぞれ違うのでしょうが。
 まずはご自分でご体験あれ。
 私は、久しぶりに自分の小さな書架を探索してみようかと思いました。

取材・文 長谷和浩

庭と書斎
記念館位置図
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